2-プロパノール
3つの炭素原子をつなげる方法は何通りあるかというと
1通りしかない
かりに2つの炭素原子が結合しているとして
どちらの炭素原子に3つ目の炭素原子をつなげても
同じものしかできない
だから飽和でも不飽和でも炭素原子3個からなる炭化水素には異性体がない。
ところが両側の炭素原子と中央の炭素原子は等価でない。
炭素原子もそれに結合している水素原子も2種類存在することになる。
だからプロパンC3H8 には異性体がないのだが
プロパンから水素1つをとったアルキル基は2種類存在するのである。
端の水素をとったものと、中央の水素をとったものである。
これにヒドロキシ基が結合したアルコールも2種類存在する。
前者につけば 1-プロパノール(n-プロピルアルコール)
後者につけば 2-プロパノール(イソプロピルアルコール)
炭素骨格は同じだがヒドロキシ基のついている位置が違うので
沸点や密度に違いが出てくる。
しかも
1-プロパノールはヨードホルム反応をしないが
2-プロパノールはヨードホルム反応をする。
1-プロパノールは酸化するとプロパナールからプロパン酸になり
2-プロパノールは酸化するとアセトンになる。
2-プロパノール はよく病院などで消毒用のアルコールとして使われていて
エタノールとはにおいが違うので簡単に区別がつくのだが
素人にはわからないし、エタノールだと思っている人が案外多い。
ずいぶん前のことだが精神病院で患者が消毒用の2-プロパノールを飲んでしまい
死者まで出る事件があったけれどエタノールだと思って飲んだらしい。